■ 助成金申請にあたって

助成金申請の前段階として、以下の点に注意することが必要です。なお、雇用保険における助成金は他の機関のものと異なり、労働者の雇用維持や確保が問われます。例えば、会社設立に対する費用の助成であってもその設立に伴って労働者を雇い入れることが条件のひとつになっているのです。

○ 労働保険料の滞納がないこと(基本的には過去2年間でみます。)

○ 解雇は頻繁ではない(助成金申請前であっても、1年程度遡っての解雇状況を見るものもあります。)

○ 就業規則等の整備(常時10人以上の労働者を抱える事業所は作成すべきものです。)

○ 労働者名簿・出勤簿の整備(法律上、整備すべきものですので、助成金申請以前の問題となります。)

○ 雑所得として課税対象(保険給付と異なり、課税対象扱いです。)

○ 会計検査院の調査対象(必ずではないですが、国庫からの支出のため調査対象となる場合があります。)

なお、助成金は随時変更されることが非常に多く申請期限も厳格なため、常にチェックが必要です。要件に該当するような状態になった場合(新事業設立、新制度設置、経営不振、障害者や高齢者の雇用等)は何らかの形で確認をとったほうがよいでしょう。ただし、助成金は、結果として「雇用市場」に貢献した場合に得られるようなものであり、”助成金欲しさ”に無理に準備をした場合には「労務管理」に支障をきたす場合もありますのでご注意ください。


■ 助成金情報

□ 雇用調整助成金(2005/08/01更新)

□ 継続雇用定着促進助成金(2005/08/01更新)

□ 特定求職者雇用開発助成金(2005/09/01更新)

□ 試行雇用奨励金(2005/09/01更新)

□ 中小企業人材確保支援助成金(2005/09/01更新)


■ 助成金情報概要


□ 雇用調整助成金

景気の変動や産業構造の変化等による経済上の理由により、やむを得ず事業活動の縮小(※1)を強いられた場合であっても、休業や教育訓練、出向(※2)を利用して雇用の継続を維持した事業主に対して、その負担した休業手当などを対象に助成(※3)されるものです。


※1

事業活動の縮小とは、最近6ヶ月間の生産高が、前年同時期と比較して10%以上減少しており、なおかつその間の雇用保険被保険者数が増加していないことを言います。(なお、特定業種や業界等を指定して要件を緩和する場合がありますのでご注意ください。)

※2

休業や教育訓練、出向は、「労使協定」を締結したものでなければなりません。

※3

行った措置(休業、教育訓練、出向)により支給額は異なります。休業で言えば次のとおりとなります。「雇用保険の基本手当日額を元に算出した額(1人の1日分)×1/2(中小:2/3)」。これが、3年間150日分を上限とし対象人数分支給されることになります。

詳しくは、http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a01-1.html


継続雇用定着促進助成金

継続雇用の定着を目的として、就業規則等により、定年の引き上げや継続雇用制度(※1)を設けるなどした事業主に対して助成(※2)されるものです。高年齢者(定年到達者)の雇用の促進を図った場合に助成されるものと言えます。

「継続雇用制度奨励金(第T種)」と「多数継続雇用助成金(第U種)」で構成されており、第T種がさらに第T号(継続雇用制度導入)と第U号(高年齢者事業所設立)に区分されます。第T種が支給されない限りは、第U種の支給要件を満たすことはありませんので第T種がベースとなります。その中でも第T号が要件を満たしやすいものとされています。


※1

継続雇用制度とは、就業規則等で61歳以上の定年延長や希望者全員を65歳以上まで雇用する延長制度等を言います。これらの制度の導入から6ヶ月以内(2年目以降は応答日から2ヶ月以内)に申請しなければなりません。なお、前提として、制度導入以前(1年以上前)に「定年」制度がきちんと設けられていることを要します。

※2

支給額は、導入した制度の種類に応じ、企業規模と制度の延長期間によって区分されています。60歳定年の企業(10人程度の規模)が65歳以上の定年延長制度を導入した場合、要件(制度対象者を規模に対応した人数分雇用等)を満たせば、毎年90万円が5年間支給されることになります。

詳しくは、www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/e-top.html


□ 特定求職者雇用開発助成金

就職が困難である特定求職者を雇い入れた事業主に対して、賃金の一部を助成しようという趣旨のものです。この中でも、特に就職が困難である高年齢者、障害者等(※1)を公共職業安定所又は有料・無料職業紹介事業の紹介により雇い入れた事業主に対しては「特定就職困難者雇用開発助成金」(※2)を、緊急就職支援者を雇い入れた場合には「緊急就職支援者雇用開発助成金」(※3)を申請により支給することになります。
 また、これらの助成金の対象となる労働者の雇入れの日(以下「基準日」)前後6ヶ月間に会社都合による解雇(勧奨退職含む)をしていた場合は支給対象外となります。また、前職の離職理由が解雇等(特定受給資格者)である被保険者を基準日前後6ヶ月間に4人以上退職させており、基準日において全被保険者の6%を超える率である場合も支給対象外となります。なお、関連企業間でのものは基本的には認められておりません。


※1

次の者(@)を65歳未満で一般被保険者(短時間を含む)として公共職業安定所等の紹介により雇用します。ただし、職業紹介日の時点で被保険者でないことが前提です。

・60歳以上の者 
・身体障害者 
・知的障害者 
・精神障害者 
・母子家庭の母等

また、次の者(A)を65歳未満で公共職業安定所等の紹介により一般被保険者(短時間は除く)を雇用した場合は、職業紹介日に被保険者である必要はありません。 

・重度身体(知的)障害者 
・45歳以上の重度身体(知的)障害者等

※2

※1@の者の場合は、助成対象期間を1年間とし、それを6ヶ月に分けて(支給対象期)支給します。賃金相当額に助成率{1/4(中小企業:1/3)}を乗じて得た額を対象労働者の人数に応じて支給します。ただし、支給対象期ごとに雇用保険基本手当日額の最高額の165日分を上限とします。
 ※1Aの者の場合は、助成対象期間を1年6ヶ月とします。それをやはり6ヶ月に分けて(支給対象期)支給します。助成率は{1/3(中小企業:1/2)}となりますが、他は※1@と同様です。

※3

「緊急就職支援者雇用開発助成金」は、再就職援助計画(公共職業安定所長認定)の対象者として再就職援助計画対象労働者証明書を所持していることが前提となりますので、もう一方の「特定就職困難者雇用開発助成金」が一般的なものとされ受給件数は多いものです。ただし、この場合も公共職業安定所や職業紹介事業の紹介による採用であることが前提です。

詳しくは、http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/c02-4.html


□ 試行雇用奨励金

職業経験、技能、知識等から就職が困難と言われている特定の求職者層(※1)を公共職業安定所の紹介で一定期間(原則3ヵ月)試行雇用することにより、その適性や可能性を見極め、これらの者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的とするものです。基本的には対象者1人につき5万円が支給されます。(※2)なお、関連企業間でのものは基本的には認められておりません。
 また、これらの助成金の対象となる労働者の雇入れの日(以下「基準日」)前6ヶ月からトライアル雇用期間終了時までに会社都合による解雇(勧奨退職含む)をしていた場合は支給対象外となります。また、前職の離職理由が解雇等(特定受給資格者)である被保険者を基準日前6ヶ月からトライアル雇用期間終了時までに4人以上退職させており、基準日において全被保険者の6%を超える率である場合も支給対象外となります。


※1

以下の者を言います。

・中高年齢者(45歳以上65歳未満で、一定の要件を公共職業安定所長が認める者)
・若年齢者(トライアル雇用開始時に35歳未満の者)
・母子家庭の母
・障害者
・ホームレス等

※2

トライアル期間中の離職など1ヵ月に満たない期間が発生する際には日割計算されます。なお、雇い入れ日から2週間以内に実施計画書を提出し(障害者やホームレスの場合は免除)、トライアル期間終了後1ヵ月以内に支給申請書と結果報告書を提出することになります。

詳しくは、http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/c02-1.html


□ 中小企業人材確保支援助成金

この「中小企業労働力確保法」に基づく支援措置を受けるためには、改善計画(雇用管理改善に取り組むこととした計画)(1)を作成し、都道府県知事の認定を受けた後に具体的な申請(「中小企業人材確保推進事業助成金」「中小企業雇用管理改善助成金」「中小企業基盤人材確保助成金」)(2)を行うことになります。


※1

雇用管理の改善とは、労働時間短縮・福利厚生充実・教育訓練の充実などを言います。

※2

「中小企業人材確保推進事業助成金」

対象となる「人材確保推進事業」は、雇用環境改善事業や採用活動改善事業など9項目にわたり定められており、そのうちの4項目の事業は必須となっています。これらの事業費用の3分の2相当額を3年間にわたり受給することになります。(上限あり:100人以上500人未満は800万円とする等)

「中小企業雇用管理改善助成金」

雇用する労働者に対して職業に関する相談を受ける施設(「環境整備事業」:20万円以上の備品を言う)または相談を受ける者(「職業相談者配置事業」:6ヶ月以上の配置等の要件あり)を行い、それに伴い労働者(職業相談者以外)を雇い入れた場合に助成されるものです。「環境整備事業」については、その費用(20万円以上)の1/2を100万円を上限として一括支給されます。また「職業相談者配置事業」については、費用の1/3を1年を半年ごとに区分し助成します。

「中小企業基盤人材確保助成金」

新分野進出(創業や異業種進出)や経営革新を目指す中小企業事業主が改善計画に基づき経営の基盤となる人材(基盤人材)を新たに雇い入れた場合や基盤人材の雇用に伴い一般労働者を新たに雇い入れた場合に助成されるものです。なお、新分野進出に伴い設備費用等を300万円以上負担していることを要します。支給額は、基盤人材の場合は1人当たり140万円を5人を上限として、一般労働者の場合は1人当たり30万円を基盤人材の人数と同数を上限とするものになります。雇い入れ日からの1年間を半年ごと2期に区分し半額ずつ支給します。

 

これらの助成金は、まず「改善計画」を作成した上でさらに「実施計画」を作成し、最終的に「申請書」を提出するというように幾つもの段階をふむことになります。当然、添付書類も多く、要件や審査も厳しいため、助成金の中でもやっかいなものと言えます。比較的、「中小企業基盤人材確保助成金」の申請が多いようです。

詳しくは、http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/e-top.html